ごま

体に必要な栄養素が小さな粒にギューッと詰まっていて、中国では「食べる丸薬」と言われるごま。植物性食品のなかではその栄養価はトップレベル。
ゴマ=ゴマリグナン+ビタミンE!更に黒ゴマの場合同じく抗酸化作用のあるポリフェノールがプラスですから、最強の健康食品です。

●成分
●ごまのたんぱく質には必須アミノ酸(人間の体内で作りだすことができないアミノ酸)がバランスよく含まれており、しなやかな血管を保つように働きます。年をとると血管が堅くもろくなって、生活習慣病を引き起こす原因にもなりますから、ごまは若さを保つにはもってこいの

●食材カルシウム、鉄などミネラルやビタミンB1・B2もたっぷり
カルシウム、鉄をはじめとして、リン、マグネシウム、亜鉛などミネラルもたっぷり含まれ、肌につやを与え、白髪の予防にも大活躍。ビタミンB1は疲労回復に、B2は疲れ目などに効果があり、一日中パソコンなどで目を使っている人にもおすすめです。

●活性酸素を撃退する抗酸化物質
他のほとんどの抗酸化物質は、食物として口に入ったその時から、すぐにそのパワーを発揮し、食物中の活性酸素と戦います。そして、消化・吸収されて肝臓に運ばれる途中でも、血液中の活性酸素と戦い続け、肝臓にたどり着くまでに相当の戦いをするのですが、さらに肝臓には強靱(きょうじん)で多量の活性酸素が待っています。抗酸化物質は、肝臓での戦いに勝利して生き残り、再び、肝臓から血液にのって、体のそれぞれの戦場に転戦していくという工程をたどります。ところが、ごまに含まれる“セサミン”の戦いぶりは他の抗酸化物質と大きく異なります。セサミンは腸で体内に吸収され、血液にのって肝臓まで運ばれますが、肝臓に行き着くまでまったく活性を持たないのです。不戦・無傷で肝臓に到達してはじめて、強力なパワーを発揮します。しかもこれは、セサミンだけのワザでして、「肝臓での活性酸素撃退はセサミンにお任せを。肝機能アップに一役かいます!」なのです。
※ 肝臓が弱ると、疲れやすくなり、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病など、いろいろな病気にかかりやすくなります。重要だという意味の「肝心」という言葉が示すように、心臓と同じくらい肝心な臓器

●効能・作用
動脈硬化の予防
高血圧の改善
貧血改善
便秘・整腸
肌や髪の美容
骨や歯の強化
疲労回復・夏バテ
血行促進・冷え性改善
老化予防
抗ストレス作用
必須アミノ酸のそろった高たんぱく食品
若白髪、足腰の弱り、便秘、めまい、耳鳴りなどに効果があります。
これらの昔から知られている効能に加えて、以下のような効果があります。

●血液循環をよくする
ビタミンEを多量に含むので、血液循環を改善し、新陳代謝を促進します。

●コレステロールの減少
リノレン酸はコレステロールや中性脂肪を減らします。また血栓を予防する働きがあるので、心臓や脳血管疾病の予防に効果があります。ゴマはリノレン酸の酸化を防ぐビタミンEを含むので、リノレン酸の効果がより高まります。

●胆石の予防
ゴマに含まれるレシチンは、コレステロールを溶かす働きがあるので、胆石を減少・予防します。

●ゴマの葉
暑気あたり、めまい、関節炎に効果があります。

●ゴマの根
消炎、かゆみ止めの作用があります。

●ゴマ油
便秘、消化不良による腹痛、また外用薬として腫れ物、潰瘍、疥癬、皮膚の荒れに効果があります。

●黒ゴマ
ゴマリグナン 抗酸化作用 活性酸素を撃退 アンチエイジング効果、肝機能改善 ダイエット効果 不飽和脂肪酸による生活習慣病の改善
セサミン 代謝促進 脂質
ビタミンE 血液及び血管内のコレステロールの除去 サラサラ効果

●カルシウム、ビタミン群が月経に伴うイライラを解消
月経不順はホルモンのバランスがくずれたときに起きやすく、その原因は精神的なストレスが大きく影響しているといわれています。特にゴマが効果を発揮する症状は、月経が遅れぎみ、経血量が少ない、月経時に下腹部の鈍痛がある、などです。ゴマにはカルシウム、ビタミン群が多く含まれ、神経の高ぶりをしずめ、月経に伴う精神的なイライラを解消します。ビタミンB1も豊富で、疲労回復や精神の安定にも効果を発揮します。ゴマに含まれている多量の不飽和脂肪酸やビタミンEは末梢血管障害を改善し、中性脂肪を減少させます。冷え症の治療、美肌効果などにも有効です。貧血の予防にも役立つ鉄、銅やマンガン、亜鉛など微量元素もたくさん含まれています。

●血管や細胞の老化を遅らせる効果も
黒ゴマには特に肉体の老化を防いだり、血液をふやし、その機能を高める働きがあります。黒ゴマを食べていると、物忘れが減る、髪が黒くなるなどの効果があらわれます。また、筋肉や骨もしっかりとしてきて、美しい肌をつくることができます。
ゴマに含まれるリグナンには、セサミン(sesamin:C20H18O6)、セサモリン(sesamolin:C20H18O7)、セサモリノール(sesamolinol:C20H20O7)、セサミノール(sesaminol:C20H18O7)、ピノレシノール(C20H22O6)、シンプレオキシドアグリコン(C20H20O6)がある

●セサモリンは、酸加水分解により、セサモールとサミンになり、セサモールには、強い抗酸化作用がある(抗酸化物質)。
 
リグナンの総量や、セサモリンの量は、黒ゴマより、白ゴマの方が、多く含まれ、黒ゴマの方が、リグニン含量が多く、油脂量が少ないと言う人もいる。
 セサモリン/セサミン比は黒ゴマの方が白ゴマより高い。

●リグナンには、以下のような作用が知られている。
 ・抗酸化作用:セサミノールには、強い抗酸化作用がある(抗酸化物質)。セサミノールは、LDLの銅イオンによる酸化を、強力に抑制する。ゴマリグナン(セサミノール、セサモリノール、ピノレジノール、セサモール)やビタミンE(α-トコフェノール)は、ウサギの赤血球膜脂質を、t-ブチルヒドロペルオキシド(t-BuOH)が、酸化する反応(連鎖的脂質過酸化反応)を、抑制する。ゴマリグナン(特にピノレジノール)は、ラットの肝臓のミクロゾーム区分の脂質過酸化反応を、抑制する。

●殺虫協力作用:ゴマ油(ゴマ油中のセサミンのメチレンジオキシフェニル基)は、ピレスリンやロテノンの殺虫作用に、相乗効果を示す。ゴマ油単独では、殺虫作用がない。
 ・結核菌生育阻害作用:セサミンには、結核菌の生育阻害作用がある。
 ・アルコール分解促進作用:セサミンは、アルコール分解(アルコール代謝)を促進し、飲酒後の血液中からのアルコール消失を促進する(悪酔いの原因となるアセトアルデヒドによる毒性を、軽減させる)。

●ゴマ種子は、自動酸化され易いリノール酸などの不飽和脂肪酸を多く含んでいるが、長期間貯蔵しても、発芽率が低下しない。
 ゴマ油は、劣化しにくい。ゴマ油は、大豆油に比して、食品を揚げるのに利用して後も、劣化(変敗)し難い。

●ゴマは、セサミンなどのゴマリグナンや、ビタミンEを含む。セサミンは、ペルオキシソームに作用して、脂質の代謝を促進するという。セサミノール配糖体は、抗酸化作用があるが、腸内細菌でセサミノールに変えられ、動脈硬化を予防する。ゴマに含まれるビタミンEは、γ-トコフェノールが多い。

●ゴマには、ジホモ-γ-リノール酸(DGLA)を、アラキドン酸(AA)に変換することを、阻害する物質(リグナン類)が含まれていて、抗アレルギー作用もあると言う。ゴマ(胡麻)に含まれるゴマリグナンは、肝臓の活性酸素を減少させ、肝機能を上昇させると言う。ゴマリグナンは、肝臓で、β-酸化を促進させる(β-酸化系酵素と同じ働きをする)。
 ゴマには、便秘解消効果もある。

●ゴマは、冷え症に、効果がある。ゴマを食べると、体内での熱の産生が、増加する、思われる。これは、ゴマに含まれるゴマリグナンが、肝臓などで、β-酸化を促進させ、熱産生を高めるからだと思われる。ゴマ(胡麻)に含まれるゴマリグナン(セサミンなど)は、肝臓の活性酸素を減少させ、肝機能を上昇させると言う。ゴマリグナンは、肝臓で、β-酸化を促進させる(β-酸化系酵素と同じ働きをする)。

●ゴマに含まれるセサミン(ゴマリグナン)は、肝臓で、ミトコンドリアとペルオキシゾームのβ-酸化系酵素の活性を,、増加させる。セサミンは、PPAR-αを活性化させ、脂肪酸分解(β-酸化)を促進する。セサミンは、脂肪酸合成をは抑制する:セサミンは、SREBP-1を抑制し、脂肪酸合成酵素(FAS)、ATP-クエン酸リアーゼ(ACL)、ピルビン酸キナーゼ(PK)の活性を抑制し、アセチル-CoAカルボシキラーゼ(ACC)の活性も軽度抑制する。その結果、熱産生が増加するので、ゴマは、冷え性(冷え症)の治療に良い。

●ゴマに含まれる脂質
 栽培種のゴマ(成熟種子)は、乾燥重量の59.5%が、脂質(油脂)から構成されている。
 ゴマ(成熟種子)は、必須脂肪酸も含めた脂肪酸を多く含んでいる:ゴマ(栽培種)に含まれる脂肪酸組成は、オレイン酸(C18:1)が39.8%、リノール酸(C18:2)が46.8%、リノレン酸(C18:3)が1.2%、パルミチン酸(C16:0)が8.0%、ステアリン酸(C18:0)が4.3%。
ナタネ油やダイズ油などの植物油に含まれる不飽和脂肪酸の二重結合は、精製植物油を精製する工程などに際して、熱処理などの影響により、一部が、シス体から、トランス体へと、異性化してしまう。
 精製植物油の内、ゴマ油は、不飽和脂肪酸のリノール酸を多く含んでいるが、精製後にも、異性化されたトランス体(トランス異性体)は、ほとんど存在しない。
 
●ゴマ油は、セサミノールの作用により、酸化されにくい。
 ゴマ油(胡麻油)には、褐変物質(ゴマ油が黄色になる成分)であるメラノイジンが含まれていて、酸化安定性を高めている。
 ゴマサラダ油は、ゴマ油を生成する段階(脱臭のプロセス)で、抗酸化作用のあるセサミノールが二次的に生成される。
 ゴマ油に含まれているセサモリンは、ゴマを焙煎する段階で、セサモールに、変化する。ゴマ油に含まれているセサモリンは、てんぷらなどの加熱調理中に、セサモールに変化する。また、セサモリンは、純白ゴマ油などの製造工程で、セサミノールに変化する。

●セサモリンは、ゴマ油に含まれる抗酸化物質の前駆体であり、ゴマサラダ油ではセサミノールに変化し、焙煎ゴマ油ではセサモールに変化し、抗酸化作用により、油の酸化安定性を高める。
 ゴマサラダ油を、定温(40℃)で放置した場合の酸化安定性を高める作用は、エピセサミノール>γ-トコフェノール>セサミノール>セサモールの順に、強い。
 ゴマ油中のセサモリンは、ゴマサラダ油の製造工程(脱色工程)で、セサミノールとセサモールとに変化する。
 ゴマ油中のセサモリンは、焙煎ゴマ油の製造工程(焙煎の加熱過程)で、セサモールに変化する。焙煎ゴマ油のフライ加熱時には、ポテトの素揚げでは、セサモリンが、セサモールとサミンに変化し、衣揚げでは、セサミンが、セサモールやセサモール二量体(微量)に変化する。

●加熱前の焙煎ゴマ油(焙煎油)は、セサモリンを193.2mg/100g、セサモールを18.6mg/100g含んでいる。また、加熱前のゴマサラダ油は、セサミノールを87.0mg/100g含んでいる。
 ビタミンE(γ-トコフェノール)は、加熱前に、焙煎ゴマ油(焙煎油)には、56.4mg/100g含まれ、また、ゴマサラダ油には、22.0mg/100g含まれる。
 焙煎ゴマ油(焙煎油)は、食品(エビ、イカ、小魚など)を、160~180℃で、フライ調理すると、含まれていたセサモリンが、セサモールに変化する。エビ8個を、5分10秒間、フライ調理すると、焙煎ゴマ油中のセサモリンは減少(193.2→102.4mg/100g)し、セサモールは増加する(18.6→42.8mg/100g)。焙煎ゴマ油は、フライ調理しても、含まれていたビタミンE(γ-トコフェノール)の量は、ほとんど変化しない。
 ゴマサラダ油は、食品をフライ調理しても、含まれていたセサミノールは、少し、減少するのみである(少ししか、分解されない)。エビ8個を、5分秒間、フライ調理すると、ゴマサラダ油中のセサミノールは、加熱前87.0mg/100gだったのが、フライ調理後76.6mg/100gに、減少する。また、ビタミンE(γ-トコフェノール)は、ほとんど変化しない(分解されない)。

●ゴマに含まれるアミノ酸
 ゴマの成分の約20%は、蛋白質。
 ゴマに含まれる蛋白質のアミノ酸は、BCAAが少なく、メチオニンが多い。
 大豆食品は、リジンの含有量は多いが、メチオニンの含有量が少ないので、大豆食品で不足するアミノ酸を、ゴマ(胡麻蛋白)を食べることで、補える。

●使用方法
調理のポイント
ごまは外皮が固く、そのままではからだの中を素通りしていくだけで、栄養も効能もうまく生かせません。すりつぶすなど、消化しやすい形にして利用しましょう。すった黒ごまをご飯や和え物などにかけて常食するのも、手軽で効果的な方法です。
ゴマは中国医学(漢方)でいう肝と腎を補う作用、滋養強壮作用がありますので、古来より不老長寿の食品として知られています。
白ゴマと黒ゴマは、どちらも同じ効能ですが薬膳など薬効の点では、黒ゴマがオススメです。

●その他
ゴマは色の違いによって、白ゴマ、黒ゴマ、黄ゴマ、金ゴマなどがあり、主な効能は似通っています。しかし、黒ゴマと白ゴマをくらべると黒ゴマのほうが薬効の幅が広いため、漢方では黒ゴマを使用しています。「ごまかす」という言葉は、あえ物などにゴマを使えば、どんな料理べたな人でもおいしく作ることができる、ということからきています。
黒ゴマ(黒色系のゴマ)の方が、白ゴマ(白色系のゴマ)より、健康増進効果(乱視の改善など)が、強い。黒ゴマは、中国の明の時代の「本草綱目」には、「長服用すると、不老長寿の効果がある」と記されていると言う。黒ゴマには、髪の毛を黒々させるなど、老化防止効果がある。

●参考文献
・ハーブ検定テキスト
・アロマ検定テキスト
・百科事典(平凡社)
・家庭の中医学
・緑の薬局
・健康茶情報
・ハーブテイー薬草データベース
・薬膳情報net
・ハーブの香り