梅には多くのクエン酸が含まれていて、疲労防止、疲労回復に効果があると言われています。腸から吸収された食物は、分解されて炭酸ガスと水になり、その間にエネルギーが生み出されますが、このサイクルが回転しないと多量の乳酸がたまり、慢性疲労に陥ってしまいます。このサイクルを円滑にするのがクエン酸なのです。  酸性食品をとりすぎると血液は酸性に傾き、血液が汚れて流れにくくなります。すっぱい梅干しは強力なアルカリ性食品であるため、血液を健康なph7.4程度の弱アルカリ性に保つ手助けをしてくれます。  日本人が慢性的に不足している栄養素がカルシウム。カルシウムが不足すると骨がスカスカになり、骨折しやすくなる骨粗しょう症が起こりやすくなると言われています。しかし、カルシウムは非常に吸収されにくい栄養素であるため、吸収率を高める必要があります。それを手助けするのが梅に含まれるクエン酸なのです。
梅エキスに血液をサラサラにする成分「ムメフラール」が含まれています。ムメフラールは、熱を加えることにより、梅に含まれる糖分とクエン酸が結びつき、生まれます。

●英名:Plum
●和名:

●成分 栄養成分(可食部100g中)
カリウム(240mg:生梅/440mg:梅干し)、βカロテン当量(240mcg:生梅/83mcg:梅干し)、クエン酸、リンゴ酸

●効能・作用
疲労回復、食中毒予防
熟した梅はクエン酸やリンゴ酸を含んでいるので疲労回復に効果があります。特に梅干しには高濃度のクエン酸が含まれています。ただし塩分も多いため梅干しの食べ過ぎには注意しましょう。梅に含まれる有機酸には殺菌効果がある
梅干しがピロリ菌を抑制
 ヘリコバクター・ピロリ菌。胃炎や十二指腸潰瘍の原因として知られています。また、胃がんの原因には様々な要因があると言われていますが、その中でもヘリコバクター・ピロリ菌が大きく関与していると言われています。梅干しに含まれるシリンガレシノール(梅リグナン)がヘリコバクター・ピロリ菌の活動を抑制することが明らかになりました。
梅干しが血糖値を下げる
梅干しが血圧の上昇を抑える
 血圧と動脈硬化は連動していて、動脈硬化になると血圧が上がり、血圧があがると動脈硬化になるという悪循環をおこします。血圧を上げ動脈硬化を引き起こす原因としてアンギオテンシンⅡというホルモンが大きく関与しているからと言われています。梅干しでアンギオテンシンⅡの働きを抑制し動脈硬化を引き起こすアンギオテンシンⅡの活性化が80~90%抑えられることが確認されています。

梅の成分は有機酸=クエン酸、リンゴ酸、コバク酸、酒石酸などで、薬効はもちろん疲労回復、殺菌・抗菌、下痢、腹痛です。またビタミン類は、A、B1、B2、Cを含み、風邪、二日酔いに薬効があります。その他、カルシウム、カリウム、リンなどミネラル類も含み、本当にバランスのとれた食べ物といえましょう。

下痢、腹痛、食あたりに梅肉エキスを
細菌性の下痢や腹痛には、梅肉エキスの殺菌・抗菌作用が最も効き目が早いもの。昔は梅干しを用いたりもしましたが、冷えなどから生じる腹痛程度までで、激しい腹痛を伴う下痢にはあまり効果がなく、やはり梅肉エキスが適しています。梅肉エキスを0.5gくらい、水に溶いて飲みます。不思議なほどぴたりとよくなります。

二日酔いにも梅肉エキス
二日酔いのときは肝臓が相当ダメージを受けているはず。こんなときにはビタミンC補給を。梅肉エキスなら肝機能が高まり、しかも新陳代謝がよくなりますから、アルコールも早く抜けることになります。宴会が続く、接待があるなどというときには、お酒を飲む前に梅肉エキスを飲んでおくと、かなり肝臓への負担も違ってくるようです。また、乗り物酔いには梅干しが効果的です。

風邪熟は梅干し
風邪をひくのは、たいてい疲労がたまっているとき。早めに退治するには、梅干し、ねぎ、おろしにんにくが効きます。特に風邪熱がある場合、発汗解熱作用で治そうというわけです。梅干し1個に、ねぎを刻み、にんにくを入れ、そこにあつあつのお湯を注ぎ、ぐーっと飲んで休みます。身体から熱が出て、あとすっきりとします。にんにくが苦手な人は、その分、少しねぎを多めに入れた梅干し湯を飲み、着替えを用意して身体を休めます。1~2日ですっきりします。 また、梅干しの黒焼きも特効です。梅干し1~2個をアルミホイルに包み、ガスであぶり黒焼きにします。これに熱湯を注いで飲むのです。やはり発汗作用で熱が下がります。

疲れたときに梅干し
仕事で疲れたときには梅干しを食べましょう。梅の有機酸が代謝を活性化してくれますから、体内の乳酸を燃焼させ、回復を助けてくれます。毎日、夕食時の梅干し1個が明日の元気につながることでしょう。

腰痛には梅酒の湿布
野球選手が痛みのある身体の治療に、日本酒を使って効果的だったという話を聞いたことがあります。同様の効果は梅酒にもあります。神経痛、リューマチ、腰痛には、梅酒をタオルなどに浸し、痛い部分に湿布するのです。梅の作用で楽になるでしょう。湿布は一日に数回行ないます。また、せきでのどが痛いときにも効果的。

水虫に梅肉エキスを
梅肉エキスの殺菌・抗菌作用は水虫にも有効です。梅肉エキスをガーゼにうすくのばし、これを水虫にはりつけます。取り替えながら根気よく続けると、少しずつよくなります。

のどの痛みは梅肉エキスでうがい
扁桃腺炎でのどがひりひりと痛いときは、ルゴールを塗ると効果がありますが、あまり気持ちのいいものではありません。そこで、殺菌のため梅肉エキスを水でうすめ、これでうがいをするといいでしょう。あるいは、うすめた液をのどに直接塗るとより一層効果があり、痛みもうすらいでくるでしょう。

●ウメの見分け方
丸みがあって香りが良く、傷や斑点のないものを選びましょう。梅干しにするならある程度熟した黄色いもの、硬めの梅干しがよいなら青みが残るものを使います。また梅酒用なら青く硬めのもの、ジャム用には完熟したもの、カリカリ小梅を作るなら青みのある小梅がよい。

●ウメの保存方法
梅は生では食べられないので、新鮮なうちに梅干しや梅酒などに加工しましょう。すぐに加工できない場合は常温の冷暗所で保存します。10度くらいの環境なら少しは日持ちしますが、低温障害を起こすことがあるので冷蔵庫での保存はおすすめしません。

日本へは奈良時代に中国から伝わったといわれています。当初は観賞用でしたが鎌倉時代には梅干しとして食用されていたそうです。広く注目されるようになったのは江戸時代で、本格的に栽培され始めたのは大正に入ってから。昭和30年頃から品種改良が進み、昭和37年には酒造法が改正されて梅酒の自家製造が可能になったことで需要が伸びました。

ウメは酸味が強いことと、生の果実では青酸配糖体が含まれることから、生食されることはほとんどなく、大部分が加工食品として利用されます。加工品の代表として梅干があり、その他、梅酒、ジュース、梅肉エキス、ジャム、ゼリーなどが作られています。酸味はクエン酸とリンゴ酸を主体とする有機酸で4~6%含まれていますが、それ以外にウメの栄養成分として取り立てて含量の高いものはありません。
未熟果を燻製にしたものを烏梅(ウバイ)と称し古来より薬用とします。何種類かの薬用とする果実の活性酸素除去作用を調べた例では、ウメ果実の水抽出エキスにもっとも強い除去作用が認められました 。また、烏梅の水抽出物が試験管内の実験で、炎症の発現の原因となるプロスタグランジンE2や一酸化窒素の合成酵素の働きを抑えたり、これら酵素の遺伝子発現を低下させたりする。
核内タンパク質の一つであるHMGB1は炎症反応や細胞遊走を促進することで、炎症の転移を媒介する重要な因子であることが示され、自己免疫疾患やガン等の分野で注目を集めています。HMGB1が病変組織から他の部位へ移動するために細胞外に放出されるのは、壊死を起こした細胞の核内から受動的に放出される場合と、活性化されたマクロファージや血小板などから能動的に分泌される場合があります。梅肉エキスがマクロファージからのHMGB1の放出を抑制する。梅肉エキスにはトリテルペノイドの一つであるオレアノール酸が含まれることが知られていますが、オレアノール酸にもこの作用は認められ、炎症の抑制剤としての利用ができる。
変異原物質にさらされたときに細胞はいろいろな反応を示しますが、ウメに含まれるクエン酸のメチルエステルに強い反応抑制がみられ、細胞の障害を抑制するのではないかと考えらます 。食事中に含まれる亜硝酸とアミンが、胃において発がん性のニトロソアミンの生成に関わることが知られています。亜硝酸とアミンの多い食べ物にウメ抽出物を組み合わせると、ニトロソアミンの生成が減るという報告があります。
ウメジュースの摂取により未熟なウメ果実に含まれるリグナンの一種であるシリンガレシノールがピロリ菌の運動を抑制する。
ウメ果実に含まれるクマリン誘導体 や、梅肉エキスの脂溶性画分 ががん細胞に対して増殖抑制効果を持つことが報告されています。
梅肉エキス(濃縮ウメジュース)には、試験管内実験でアンジオテンシンによる動脈平滑筋増殖を抑える作用があり、血管保護効果を持つ可能性があります 。
アーモンドの果皮が、ビタミンE、Cとの相乗作用で、LDLの抗酸化能力を高める。フラボノイドがその作用はカテキン類、フラボノール類によるとしています 。梅肉エキスに高血糖・脂質低下作用があることが示されています。脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンなど善玉成分が増加するためとしています 。ウメに含まれるクロロゲン酸が、コレステロール合成系に含まれるスクワレンシンターゼを阻害することが報告されています 。高コレステロール血症の場合にはこの酵素の抑制により、血漿コレステロール値、中性脂肪値の低下が期待されます。 梅肉エキスについては運動後の疲労を緩和することも見いだされています 。
●参考文献
・ハーブ検定テキスト
・家庭の中医学
・緑の薬局
・健康茶情報
・ハーブテイー薬草データベース
・薬膳情報net
・ハーブの香り
・サプリメントラボ